国税庁「令和6事務年度調査事績」から読み解く!〜税務調査の最新トレンド〜

国税庁より、**令和6事務年度(2024年7月〜2025年6月)**における法人税等の調査事績が公表されました。公表資料を読み解いていくと、今回の発表から強く感じるのは、
「税務調査のやり方そのもの」が根本から変わっている
という点です。これまで通用していた「うちは小さいから大丈夫」「赤字だから調査されない」といった感覚は、すでに前提として崩れつつあります。
本記事では、国税庁の公表資料をもとに、最近の税務調査のトレンドを5つのポイントで整理します。
Contents
1.「量より質」へ|1件あたりの追徴税額はこの10年で約3倍
まず注目したいのは、税務調査の**“効率化”**です。国税庁が公表している過去10年の推移を見ると、調査方針の変化がはっきりと表れています。
調査件数は大きく減少している一方で、**「ミスの発見率は上昇」「1件あたりの追徴税額は約3倍」**となっています。
これは、「闇雲に数を当たる調査」から、**「事前に当たりをつけて行く調査」**へ完全にシフトしていることを意味します。AIや各種データ分析を活用した事前選定の精度が、格段に上がっていると考えられます。
2.【独自考察】赤字法人(欠損法人)でも安心できない理由
※以下は、国税庁の公表資料と実務経験を踏まえた筆者の考察です。
ここで多くの方が疑問に思われるのが、「どうせ税金が取れない赤字法人は後回しなのでは?」という点です。確かに、短期的な効率だけを見れば、欠損法人が優先度を下げられる傾向はあります。しかし、そこには2つの見落としやすいリスクがあります。
① 将来の税収を見据えた「欠損金チェック」
欠損金は、原則として10年間繰り越しが可能です。不適切に作られた赤字を今のうちに是正しておけば、将来黒字化した際に、確実に課税できます。つまり、**「今は税金が出なくても、将来のために調査する」**という視点です。
② 消費税は赤字でも関係ない
法人税が赤字でも、消費税は別物です。
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売上除外
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不正還付
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課税区分の誤り
こうした点は、黒字・赤字に関係なく発生します。消費税をきっかけに調査が入り、結果として法人税の不正も併せて指摘されるケースは、決して珍しくありません。
3.「国内外の包囲網」|デジタル調査はここまで進んでいる
今回の事績で特に目立つのが、海外取引や消費税還付に対する厳しい姿勢です。背景にあるのは、税務署単独ではないデータ連携の進化です。
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外国当局との情報交換(CRS): CRS(共通報告基準)により、海外口座情報は自動的に日本へ提供されます。
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他官庁とのデータ突合: 税関の輸出入データや、各種補助金・助成金情報と申告内容が突き合わされ、数字の矛盾はすぐに浮かび上がる仕組みになっています。
もはや税務署は、「会社が用意した資料だけ」を見て調査しているわけではありません。外部の膨大なデータを持った状態で調査に来る──この前提で考える必要があります。
4.業種別の変化|美容業が高リスク業種に
不正発見割合が高い業種として、バー・クラブ、風俗関連といった業種が長年上位にありましたが、今回注目されたのが**「美容業(38.1%)」**です。
特に以下の点がチェックされています。
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SNSの発信内容と生活実態の乖離
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予約サイトのデータと売上帳簿の整合性
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現金売上の計上漏れ
経営者の性別や事業規模に関わらず、デジタルデータに基づく調査が行われています。「個人サロンだから大丈夫」という感覚は、現在の調査手法では通用しにくくなっています。
5.増加する「無申告」への厳しい対応
「申告しなければバレない」そう考える方への包囲網も、確実に狭まっています。 取引先の支払調書や、銀行振込の履歴といった情報から、無申告法人が芋づる式に把握されるケースが増えています。
無申告が発覚した場合、以下のペナルティが課され、会社の資金繰りや存続に大きな影響を及ぼすこともあります。
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本来の税額
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事案によっては最大40%の重加算税
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延滞税
まとめ|「調査が来てから」では遅い時代へ
今回の調査事績から読み取れるのは、**「税務署は、より確実に、より多額の税収が見込める対象をデータで見極めて調査している」**という現実です。
これから経営者が意識すべきポイントは以下の3点です。
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帳簿のデジタル化と透明性の確保
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公私混同をしない経理体制
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「小規模」「赤字」という思い込みを捨てること
税務調査対策は、日頃の正確な記帳と、説明できるデータ管理から始まります。
現在、2026年6月の開業に向けて準備中ですが、LINEにてご相談を受け付けています。
簡単なご質問からでも問題ありませんので、気になる点があればお気軽にご連絡ください。


