飲食店が棚卸をしていないとどうなる?税務調査でみられるポイントを解説

飲食店では、期末に棚卸をしていない、あるいは形式的にしか行っていないケースも少なくありません。「だいたいこれくらいだろう」で済ませてしまっている、という話もよく聞きます。
しかし、棚卸は単なる作業ではなく、適正な利益を計算するために欠かせない重要な手続きです。本記事では、棚卸の基本から、税務調査でどのように見られるのかまで、実務の視点で解説します。
Contents
棚卸が必要な理由(なぜやらないといけないのか)
売上原価は、以下の計算で求められます。
期首在庫 + 仕入 − 期末在庫 = 売上原価
つまり、期末在庫がズレると、そのまま利益がズレることになります。棚卸をしていない、あるいは不正確な場合、本来より利益が多くなったり少なくなったりする可能性があります。
棚卸は、「どれだけ儲かったか」を正しく出すための前提条件です。
飲食店の実態(よくあるケース)
実務上、飲食店では次のようなケースが見られます。
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そもそも棚卸を行っていない
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棚卸はしているが、数量のみで単価を見直していない
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長期間、同じ単価を使い続けている
こうした背景には、「棚卸の評価方法」自体が十分に理解されていないケースもあります。
原則として、棚卸資産の評価方法は届出を行わない限り「最終仕入原価法」が適用されます。これは、期末時点に最も近い仕入単価を用いて在庫を評価する方法です。
つまり、数量だけを把握していても、単価が実態と乖離していれば、在庫金額は適正とはいえません。特に、仕入価格が変動しているにもかかわらず、長期間同じ単価を使い続けている場合には、利益計算に大きな影響が出る可能性があります。
※なお、小売業などでは売価還元法など別の評価方法が用いられるケースもありますが、飲食店においては最終仕入原価法による評価が一般的です。
帳簿棚卸と実地棚卸
理論上は帳簿棚卸も考えられますが、飲食店においては現実的に難しいケースが多いです。食材は日々消費され、ロスや廃棄も発生するため、帳簿と実際の在庫が一致しないことが一般的です。
セントラルキッチン等で在庫管理が比較的整備されている場合であっても、最終的には実地棚卸による確認が必要です。実際の在庫と帳簿のズレは必ず生じるため、期末時点での実地確認を省略することは適切とはいえません。
実地棚卸のハードル
実地棚卸は、実際に数える必要があるため、手間や人手がかかります。特に営業後に行う場合など、負担が大きい作業です。
※実際には、「分かってはいるけど、そこまで手が回らない」というお話もよく伺います。そのため、後回しにされがちなのが実情です。しかし、この「面倒だからやらない」が、後々大きなリスクにつながることがあります。
税務調査でどのように見られるか
税務調査では、在庫の妥当性も確認されます。特に、酒類や飲料など数量を把握しやすいものについては、重点的に確認される傾向があります。
例えば、
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期末在庫
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その後の仕入数量
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調査時点の実在庫
といった情報をもとに、在庫数量の整合性が検証されることがあります。
酒類のように1本単位で管理しやすいものについては、入出庫の流れを整理することで、過去の在庫の動きをある程度再現することが可能です。その結果、期末時点の在庫が実態と乖離している場合には、在庫の過少計上や売上の計上漏れを疑われる要因となります。
特に、帳簿や棚卸記録が残っていない場合には、こうした間接的な検証により判断されることもあります。
このように、在庫のズレは売上や原価率の不自然さとして現れます。原価率から売上がどのように推計されるのかについては、別記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
実際に問題となるケース
例えば、期末棚卸を行っていない飲食店において、
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原価率が他店と比べて低い
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在庫の管理記録が残っていない
といった状況があると、調査において売上の除外を疑われるケースもあります。実際には、単に在庫管理ができていなかっただけであっても、結果として課税関係に影響が出ることがあります。
まとめ
棚卸は手間のかかる作業ですが、適正な利益計算のためには欠かせません。すべてを完璧に行う必要はありませんが、少なくとも期末には実地棚卸を行い、記録を残しておくことが重要です。
日々の管理が難しい場合でも、年に一度の棚卸を確実に行うだけで、税務上のリスクは大きく減らすことができます。
最後に(少しだけ)
ここまでお読みいただきありがとうございます
ここまで棚卸の重要性について解説してきましたが、実際には「分かってはいるけど、そこまで手が回らない」という方も多いと思います。
飲食店の現場では、日々の営業を回すこと自体が最優先になりますので、在庫管理や棚卸まで完璧に行うのは簡単ではありません。当事務所では、そうした実情も踏まえたうえで、無理のない形での管理方法や、現実的な対応策をご提案しています。
「どこまでやればいいのか分からない」といった段階でも構いませんので、気になる点があればお気軽にご相談ください。
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