建設業の税務調査で見られる「スクラップ収入」の申告漏れ

工場解体・設備撤去工事で注意したい雑収入の取扱い

建設業、とりわけ工場解体や設備撤去工事を行う事業者様において、近年無視できなくなっているのが「スクラップ収入」です。

鉄くずや銅線、ステンレスなどのスクラップ価格は、10年前と比較して大きく上昇しています。その背景には、以下のような要因があります。

  • 世界的な資源需要の増加
  • 円安の影響
  • 物流コストの上昇
  • リサイクル市場の拡大

特に銅などの非鉄金属については高値で取引されるケースも増えています。そのため、以前は「現場経費の足し」程度に考えられていたスクラップ収入が、現在では想定以上の金額になるケースも少なくありません。

一方で、建設業の税務調査では、このスクラップ収入の申告漏れが確認されるケースがあります。今回は、建設業におけるスクラップ収入の取扱いと、税務調査で確認されやすいポイントについて解説します。

建設業ではスクラップ収入は“当然発生し得るもの”

建設業、とりわけ以下のような工事では、スクラップ(鉄くず・非鉄金属等)の発生は珍しいことではありません。

  • 工場解体・解体工事
  • 設備撤去工事
  • 大型改修工事
  • 電気設備工事・配管工事

これらの現場からは、以下のような有価物が発生し、スクラップ業者へ売却されることがあります。

  • 鉄骨・鉄くず
  • 銅線(CVケーブル等)
  • ステンレス材・アルミ部材
  • 給排水設備や配管類

特に工場解体などの大型現場においては、スクラップ発生はある意味「当然」ともいえるものです。

しかし、現場サイドや経営者様の意識として、以下のような認識から帳簿へ計上されていないケースが見受けられます。

  • 「少額だから問題ないだろう」
  • 「現場の現金経費に充てているから相殺されているはず」
  • 「現場単位で処理(処分)しているから会社には関係ない」

税務調査ではスクラップ収入が「なぜ確認されるのか?」

建設業、とりわけ工場解体や設備撤去を行う事業者について、税務署側も「スクラップが発生し得る業種である」ことは当然に認識しています。

そのため、税務調査では、 「この規模の解体工事を行っていて、スクラップ収入がほとんどないのは自然なのか」 という観点で確認が行われることがあります。

近年はスクラップ価格の上昇もあり、以前と比べて収入金額が大きくなっているケースもあるため、実務上も比較的確認されやすい論点(狙われやすいポイント)の一つといえます。

工場解体など大型現場では「見込み」と「実績」の整合性が重要

大型の工場解体や設備撤去工事では、鉄骨や設備機器、配管などから一定量の鉄くず等が発生することが通常想定されます。そのため、工事見積の段階で、「スクラップ発生量」や「有価物売却による収入見込み」を一定程度考慮して見積を作成しているケースも少なくありません。

もっとも、現場で発生したスクラップが、

  • 元請側のもの(元請引取)となるケース
  • 下請(施工会社)の収入となるケース
  • 一定割合で相殺・精算するケース など、どちらに帰属するかは契約内容によって異なります。

一方で税務調査では、「工事規模から見込まれるスクラップ量」と「実際の売却収入」との整合性が確認されることがあります。

  • 大型工場解体を継続しているにもかかわらず、スクラップ収入が極端に少ない
  • 見積内容や工事規模に対し、スクラップ売却量や収入が不自然に少ない

といった場合には、「契約上どちらに帰属するのか」「元請との精算条件はどうなっているか」「現場ごとの処理実態はどうか」などについて、深掘りして確認される可能性があります。

“現場の場所”との整合性も見られている

単に「雑収入や売却収入を計上しているか」だけでなく、現場のロケーションとの整合性が確認されることもあります。

例えば、遠方で大型解体工事を継続的に行っているにもかかわらず、スクラップの売却先が毎年「会社近辺の同一業者」ばかりである場合、以下のような疑問を持たれるケースがあります。

「遠方現場で発生したスクラップは、わざわざここまで運んだのか?」 「地元の業者にその場で売却し、その現金収入が漏れているのではないか?」

もちろん、元請指定業者への処分、運搬効率、現場条件など合理的理由があるケースもあります。ただし、契約内容や処理実態について後から明確に説明できない場合、税務調査において大きな疑義(=抜き取りの疑い)につながる可能性があります。

まとめ:スクラップ収入(雑収入等)は適切な計上を

スクラップ収入は、事業に伴って得られた収入である以上、売上高または雑収入等として適切な計上が必要となります。

「現金でもらったから」「現場の裁量に任せているから」という理由で管理が曖昧になってしまうと、税務調査で申告漏れを指摘され、重加算税などのペナルティが課されるリスクもあります。

建設業の税務調査では、外注費の過大計上や売上の計上時期(期末のズレ)だけでなく、こうした「スクラップ収入」も定番の確認論点です。

  • スクラップ業者の買取明細(支払調書など)
  • 入金履歴(通帳口座・現金出納帳)
  • 現場ごとの管理資料や契約書

これらをしっかりと整理し、「どの現場のスクラップが、いくらで、どこに売却されたか」を後から客観的に説明できる状態にしておくことが極めて重要です。

建設業の税務や、税務調査対応について気になる点やご不安なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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