消費税の不正還付の実態

 以前の更新で「消費税の不正還付」が国税庁の重点課題となっているとお伝えしましたが、実際にどの程度の不正が把握されているのでしょうか。気になって国税庁の公開データを調べてみました。

 国税庁の発表によると、令和5年7月から令和6年6月までの1年間で、消費税還付申告者(個人・法人)に対して実施された実地調査の結果は以下の通りです。

  • 実地調査件数:6,335件

  • 追徴税額:約405億円

 消費税の還付申告額自体も年々増加しており、同期間での還付総額は7.3兆円にものぼります。

 こうした中、不正還付の典型例として「架空仕入と架空免税売上の両建計上」に加え、「免税物品の国内転売」が記載されていました。後者のケースに近い事例として、スギホールディングス株式会社が2024年9月に発表したプレスリリースが参考になります。

https://www.sugi-hd.co.jp/pdf/20240928_01.pdf

 同社の子会社であるスギ薬局では、国税局の調査により免税販売の手続き不備を指摘されました。

  • 対象期間:2019年2月期~2023年2月期

  • 指摘内容:購入者誓約書の管理不備、免税対象外への販売、旅券情報の登録漏れなど

  • 追徴税額:約8.5億円

 リリースを確認すると「免税対象外の者への販売」が含まれており、少し形式は異なるかもしれませんが、実質的に不正還付と同様のスキームが入り込んでいた可能性が伺えます。

 こうした不正への抜本的な対策として、令和8年(2026年)11月より「リファンド方式」が導入される予定です。 これは、店舗では一旦「消費税込」の価格で購入し、出国時に税関で物品の持ち出しが確認された場合にのみ、後から消費税相当額が還付されるという仕組みです。今までの「その場で免税」という形から大きく舵が切られることになります。

 不正還付への監視の目は、年々厳しさを増しています。「知らなかった」では済まされない追徴課税のリスクを避けるためにも、免税販売を行う事業者様は、現行ルールの徹底と新制度への備えが不可欠です。 私自身も常にアンテナを貼り、最新の情報を仕入れていきたいと感じました。

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