建設業で多い「売上の期ずれ」に注意 ~税務調査でよく確認されるポイント~

建設業の税務調査において、頻繁に指摘事項となるのが「売上の計上時期」です。
「請求書を発行したタイミングで売上計上している」
「入金があった時点で売上計上している」
というケースも見受けられますが、税務上の売上計上時期は請求書や入金のタイミングだけで判断されるわけではありません。
今回は、建設業で特に注意したい売上の期ずれについて解説します。
Contents
売上はいつ計上するのか
建設業においては、原則として工事が完成し、引渡しが行われた時点で売上を計上します。
つまり、
- 請求書発行日
- 入金日
- 契約日
ではなく、
工事の完成・引渡しの日
が重要な判断基準となります。
そのため、決算日前後に完成した工事については慎重な確認が必要です。
建物工事では「鍵の引渡し日」も重要
住宅や店舗、事務所などの建物工事では、完成日の判断が曖昧になることがあります。
例えば、
- 工事はほぼ完了している
- 軽微な手直しだけ残っている
- 請求書はまだ発行していない
というケースです。
このような場合、税務調査では実際の引渡し状況が確認されます。
特に、
施主へ鍵を渡しているかどうか
は重要な判断材料となります。
建物を使用できる状態になり、実質的な引渡しが完了している場合には、請求書の発行や入金の有無にかかわらず売上計上が必要となる可能性があります。
税務調査では、
- 引渡書
- 完了報告書
- 鍵の受領書
- メールのやり取り
- 工事写真
などから実際の引渡時期を確認されることがあります。
「請求書を出していないから売上ではない」は危険
建設業では、
「まだ請求書を発行していないため前受金として処理している」
というケースがあります。
しかし、税務上は請求書の発行有無だけで売上計上時期が決まるわけではありません。
例えば契約書において、
- 契約時 30%
- 中間時 30%
- 完成引渡時 40%
と定められているケースを考えてみます。
決算日前に、
- 工事が完成している
- 引渡しが完了している
- 鍵も渡している
- 完成金も入金されている
にもかかわらず、
「請求書を発行していないため前受金計上」
としている場合があります。
しかし契約上、完成引渡し時に残代金の請求権が発生しているのであれば、税務調査では売上計上漏れと判断される可能性があります。
実際には請求書よりも、
- 工事請負契約書
- 引渡書
- 完成確認書
- 入金記録
などが重視されます。
税務調査で確認される資料
建設業の税務調査では、決算日前後の工事について重点的に確認されます。
主な確認資料は次のとおりです。
- 工事台帳
- 工事請負契約書
- 請求書
- 入金記録
- 工事完了報告書
- 引渡書
- 工事写真
- 鍵の受領記録
調査官はこれらの資料を総合的に確認し、
「実際にはいつ完成し、いつ引渡しが行われたのか」
を判断します。
期ずれが発生するとどうなるか
売上の期ずれが認定された場合、
- 修正申告
- 法人税・所得税の追加納税
- 消費税の修正
- 過少申告加算税
- 延滞税
などの負担が生じる可能性があります。
また、金融機関へ提出している決算書の利益額にも影響するため注意が必要です。
まとめ
建設業の売上計上時期は、請求書の発行日や入金日だけで判断できるものではありません。
特に建物工事では、
- 工事がいつ完成したのか
- いつ引渡しを行ったのか
- 鍵をいつ渡したのか
- 契約上、いつ代金を請求できるのか
といった点を総合的に確認する必要があります。
実際の税務調査でも、請求書だけでなく契約書や引渡しの状況などから売上計上時期が判断されるため、思わぬ期ずれを指摘されるケースも少なくありません。
とはいえ、現場では追加工事や手直し、請求のタイミングなどが絡み、判断に迷うケースも多いものです。
「この工事は今期の売上になるのだろうか?」
「決算前の工事処理はこれで問題ないだろうか?」
当事務所においては、初回無料相談を行っています。そのような疑問がありましたらお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
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